介護の仕事で気を使わなければいけないのが、トイレ介助である。転んだり漏れたりすると、高齢者のプライドが大きく傷ついてしまう。失敗なく終わらせるためには、便座に座るまでが大切だ。そこで、次のポイントを押さえるとスムーズにいくだろう。便座に移動するまでの第一のポイントは、車椅子での体の位置だ。高齢者の体格を見て体を移しやすいポジションに車椅子をつけたら、まず車椅子に浅めに座ってもらう。その方が、立ち上がりの際に楽になる。このとき、フットサポートがあると立ち上がった時に足が引っかかり邪魔になるので、先に外しておくほうが賢明だ。
次のポイントは、体の向きの変え方である。高齢者に、手すりにつかまってお辞儀をするような姿勢をとってもらい、立ち上がったらゆっくりと回転してこちらに背中を向けてもらう。ここでは、高齢者がバランスを崩して思わぬ事故につながらないよう、自分の肩に体を預けてもらったり腰の部分を両手で支えておいたりすることがコツだ。
もう一つのポイントは、ズボンの下ろし方だ。しっかり立てるなら、そのままズボンを下ろすことができる。しかし高齢者の中には筋力が弱って立てない人もいるので、不安定だと思う場合は自分の太ももを介助される人の腰や太ももの下に置き、体の重みを支えながら行う。ここまでくれば、後はゆっくり座ってもらうだけ。しっかり座れていることを確認できたら、そばで見ておく必要がない人の場合にはカーテンを閉め、プライバシーと安全性に配慮しながら見守るとよい。今まさに介助につまづいている介護士は、これらのトイレ介助のポイントを押さえてぜひトライしてほしい。